「学校の先生から、集団行動が苦手だと言われた」

「学童保育に馴染めず、放課後の居場所がない」

お子さんの就学や成長に伴い、このような悩みを抱えていませんか?

放課後等デイサービス(ほうかごとうでいさーびす)は、そんな悩みを持つお子さんと保護者を支えるための公的な福祉サービスです。「障害児」という言葉に不安を感じる方もいるかもしれませんが、実は多くの家庭が「習い事」や「塾」のような感覚で利用し、お子さんの自信を育んでいます。

この記事では、制度の仕組みや対象条件、気になる費用、そして学童保育との決定的な違いについて、初めての方にもわかりやすく解説します。


放課後等デイサービスとは?「療育」の場としての役割

一言でいうと「障害のあるお子さんのための学童・塾」

 

放課後等デイサービス(通称:放デイ)とは、簡単に言えば「障害や発達に特性のあるお子さんのための学童保育や塾」のような場所です。

学校の授業終了後や夏休みなどの長期休暇中に通うことができ、単に子供を預かるだけでなく、一人ひとりの特性に合わせた「療育(りょういく)」を行うのが最大の特徴です。

療育とは、障害のある子供が社会的に自立できるよう、専門的な教育支援を行うことです。

施設によって、「運動に特化して体幹を鍛える」「プログラミングで集中力を養う」「SST(ソーシャルスキルトレーニング)で対人関係を学ぶ」など、様々な特色があります。

法的な定義と目的(自立支援と居場所づくり)

放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づくサービスです。厚生労働省のガイドラインでは、主に以下の役割が定義されています。

  1. 自立支援と日常生活の充実

    • 学習や遊びを通じて、生活能力の向上を目指します。

  2. 創作活動

    • 工作や音楽などを通じて、表現する喜びを育みます。

  3. 地域交流の機会

    • 社会経験を積み、将来の自立に向けた準備をします。

  4. レスパイトケア(保護者の休息)

    • これが非常に重要です。お子さんを安心して預けることで、保護者が仕事や家事、休息の時間を持つことも、制度の大切な目的の一つです。


利用対象になる子供は?手帳なしでも利用可能?

対象年齢(6歳〜18歳)と基本的な条件

放課後等デイサービスの対象は、原則として小学生から高校生(6歳〜18歳)までの就学児童です。

特別支援学校に通っているお子さんだけでなく、地域の小学校・中学校・高校の「普通級」や「特別支援学級」に通っているお子さんも対象となります。

なお、小学校入学前(未就学児)のお子さんの場合は、「児童発達支援」という別のサービスが対象となります。制度の仕組みは似ていますが、名称が異なるため注意しましょう。

【重要】障害者手帳がなくても「受給者証」があればOK

ここが最も誤解されやすいポイントですが、利用するために「障害者手帳」は必須ではありません。

自治体が発行する「通所受給者証(受給者証)」があれば利用可能です。

受給者証は、以下のような書類をもとに、療育の必要性が認められれば発行されます。

  • 医師の診断書や意見書

  • 自治体の保健師や心理士の所見

  • 特別支援学級への在籍証明

つまり、「障害名」という診断が確定していなくても、医師が「発達支援が必要」と判断すれば、いわゆるグレーゾーンのお子さんでも利用できるケースが非常に多いのです。まずは諦めずに自治体へ相談することが大切です。


放課後等デイサービスと「学童保育」の3つの違い

一般的な「放課後児童クラブ(学童保育)」と何が違うのか、迷われる方も多いでしょう。大きな違いは「目的」と「専門性」にあります。

【比較表】人員配置と活動内容の違い

 

項目 放課後等デイサービス 学童保育(放課後児童クラブ)
主な目的 療育(個別の支援・訓練) 育成(遊び・生活の場)
対象児童 発達に特性のある児童 共働き家庭などの児童
スタッフ 児童指導員、保育士、機能訓練担当職員など 放課後児童支援員、補助員
活動人数 1日10名前後の小集団 1クラス40名程度の大集団
過ごし方 個別プログラムや小集団活動 自由遊びが中心

専門スタッフ(保育士・指導員)の手厚さ

学童保育が大勢の子供を少数のスタッフで見守るのに対し、放課後等デイサービスは人員配置が手厚いのが特徴です。

多くの事業所では、子供10人に対して数名のスタッフが配置されています。スタッフの中には、保育士、児童指導員、理学療法士、公認心理師などの有資格者が在籍していることが多く、お子さんの「困りごと」に対して専門的な視点からアプローチしてくれます。

小集団での活動とSST(ソーシャルスキルトレーニング)

学童保育のような大人数の環境では、音がうるさくてパニックになったり、ルールが分からず孤立してしまったりするお子さんもいます。

放課後等デイサービスは少人数制(定員10名程度が多い)です。アットホームな環境の中で、以下のようなSST(ソーシャルスキルトレーニング)を自然に行います。

  • 「貸して」「いいよ」のやり取りの練習

  • ゲームで負けた時の気持ちの切り替え方

  • 集団でのルールの守り方

スモールステップで成功体験を積み重ねられるのが、放デイならではのメリットです。


利用料金はいくらかかる?世帯年収による負担上限額

「専門的なサービスだから、料金が高いのでは?」と心配される方もいるでしょう。しかし、放課後等デイサービスは公的な支援制度であるため、費用負担は大幅に抑えられています。

基本は1割負担。さらに「月額上限」がある安心制度

利用料は、国が定めた単位に基づき計算されますが、利用者が支払うのはそのうちの「1割」のみです。残りの9割は自治体からの給付費で賄われます。

さらに、1割負担の金額が大きくなりすぎないよう、世帯の所得に応じて「負担上限月額」が設定されています。どんなにたくさん利用しても、この上限額を超えて請求されることはありません。

世帯所得ごとの負担上限額(0円・4,600円・37,200円)

 

世帯の所得区分 負担上限月額
生活保護受給世帯 0円
市町村民税非課税世帯 0円
年収約890万円までの世帯 4,600円
上記以外(高所得世帯) 37,200円

※年収は概算です。正確な区分は自治体により異なります。

実際に利用されているご家庭の多くは、「月額4,600円」の上限額の範囲内に収まっています。

おやつ代やイベント費などの実費負担について

上限額に含まれるのは「基本利用料」のみです。以下の費用は実費として別途支払いが必要になる場合があります。

  • おやつ代(1回50円〜100円程度)

  • 創作活動の材料費

  • イベント時の交通費や入場料

事業所選びの際は、こうした実費が毎月どのくらいかかるかも確認しておくと安心です。

詳しくは|料金案内

料金案内基本料金 利用者負担は原則1割 サービス費用の9割は国と自治体が負担し、ご家庭のご負担は1割のみです。 例: 1回の利用料金が...

 


利用開始までの5ステップと失敗しない事業所の選び方

放課後等デイサービスを利用するには、行政への手続きが必要です。「見学に行けばすぐ入れる」わけではないので、早めに動くことが大切です。

相談から受給者証取得までの流れ(フローチャート)

 

  1. 相談・情報収集

    • 自治体の「障害福祉課」や「相談支援事業所」に相談します。

  2. 事業所の見学・体験

    • 通いたい施設を探し、空き状況を確認して見学に行きます。

  3. 受給者証の申請

    • 利用したい施設が決まりそうになったら、役所の窓口で申請を行います。この際、「利用計画案」の作成が必要になります(相談支援専門員に依頼するのが一般的です)。

  4. 受給者証の交付

    • 審査を経て、自宅に受給者証が届きます(申請から2週間〜1ヶ月程度)。

  5. 契約・利用開始

    • 受給者証を持って施設に行き、契約を結んで利用スタートです。

受給者証の取得について詳しくは|放課後等デイサービス/児童発達支援:ご利用のための受給者証取得ガイド

放課後等デイサービス/児童発達支援:ご利用のための受給者証取得ガイド放課後等デイサービス・児童発達支援の利用に必要な「通所受給者証」の取得方法をわかりやすく解説。申請の流れや必要書類、セルフプランと専門家依頼の違い、手続きのポイントまで丁寧にご案内します。...

 

良い事業所を見極めるチェックポイント

放課後等デイサービスは施設によって雰囲気が全く異なります。以下のポイントをチェックしましょう。

  • プログラム内容: 運動、学習、遊びなど、子供の興味に合っているか?

  • スタッフの対応: 子供の良いところを褒めてくれるか? 保護者の話を聞いてくれるか?

  • 送迎の有無: 学校へのお迎えや、自宅への送りはあるか?

  • 施設の環境: 清潔感はあるか? 安全対策はされているか?

まずは「見学・体験」に行ってみよう

インターネットの情報だけでは、本当の雰囲気はわかりません。

まずは、お子さんと一緒に見学や無料体験に行ってみることを強くおすすめします。

お子さんが楽しそうに過ごしているか、笑顔が見られるかが、一番の判断材料になります。

「ここなら通えそう」「ここなら安心できる」と思える場所を、ぜひ見つけてください。

ポラリスステップでも随時ご見学/体験を受け付けております。
ご相談などもお気軽にお問い合わせください。